私にとって一番の楽しみは季節を追っての魚釣り、これは何とも言えない味わい風情があるもので、その趣味が高じて釣りの番組の司会進行役までやってしまった訳ですが、季節を追うとなれば竿を担いで日本の各地へと出掛ける事と相成ります。北は北海道から南は沖縄まで、イヤ海外まで出掛けたことも幾度となくあります。ですから国内の島々には、ほとんど上陸しました。それこそ東シナ海の無人島男女群島まで、しかし今までどうしても足をのばすことが出来なかった島が有りました。それが小笠原諸島だったのです。なぜなのかと言えば小笠原に行くとなればまるまる一週間のスケジュールを作らなければならないからです。噺家の仕事は単発のものが多くまるまる一週間はとても無理。
「私は小笠原とは無縁の人間なのか。。」とあきらめていた矢先、その小笠原で落語を喋べらないかと突然の注文が舞い込んだのが平成十八年の秋、仕事ならスケジュールが組める。さあ、商売道具の着物のバッグはたった一つ、釣りのケースやバッグは三つ。果たして何が目的なのか判らない?
もちろん本業ですから父島、母島の公演は心を込めて落語をキッチリと島の方々に楽しんでもらいました。ただ自分としてはその公演の間に生じる空白の時間の又、素晴らしかったこと。同じ島でも沖縄とは全く違う深い深い海の色、そして釣り上げた数々の魚と引き味!そして帰りがけ母島のバナナ農園のおじさんが「ホラ、土産だよ!」と持たせてくれた島のバナナ。小笠原はまさに天国でした。
ですから今つくづく思っています。自分が本当の天国に行ってしまう前に、もう一度この世の天国「小笠原」に行くぞ・・・・と! |
| 三笑亭 夢丸 |
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